法定相続情報証明制度と法定相続情報一覧図

今回は法定相続情報のメリット、デメリット、手続きの方法について解説します。

法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは法務局で発行される法定相続情報一覧図の写しを預貯金の解約や不動産の名義変更などの相続手続きに使うことによって、束になった戸籍謄本を持ち歩く必要がなくなり、手続きが簡略化できるものです。

被相続人名義の預貯金を解約したり、不動産の名義変更を行うには、まずは戸籍謄本を収集しなければなりません。それは、誰が相続人になるかを確定させるためには必須で、集めた戸籍に不足があれば手続きを進めることができません。

この戸籍収集は相続人の数が少ない場合は特に負担になることはありません。しかし、相続手続きを長年放置して相続人の数が増えてしまっている場合や、離婚や再婚によって相続関係が複雑になっている場合には、収集する戸籍の数も膨大になることがあります。

解約する銀行口座がいくつもあると、その都度、束になった戸籍謄本を提出しなければならず、提出した戸籍に不足があれば、何度も窓口に足を運ばなければなりません。

法定相続情報証明制度は、このような煩雑な相続手続きを簡略化する制度です。

始めの段階で全ての戸籍謄本を集める必要がありますが、作成した法定相続情報一覧図を法務局で一度証明を受ければ、その後の手続きは交付された一覧図の写しを提出することで済みます。

あらかじめ法務局で相続人の確認が行われ、お墨付きを頂いていますので、金融機関の窓口などでは戸籍謄本を読み解いて相続人に誤りがないかの確認作業を省くことができ、手続きの時間が短縮されます。

法定相続情報証明制度のここがいい

では、法定相続情報証明制度の長所について見ていきましょう。

発行手数料が無料

最初に集める戸籍謄本の手数料は相続人が負担しなければなりませんが、法定相続情報証明制度の利用は無料ですることができます。

5年間再交付ができる

法定相続情報一覧図は作成から5年間は法務局で保管されますので、紛失したり、不足した場合にも再交付が可能です。

登記官が戸籍を確認してくれる

法定相続情報証明制度の申出は、ご自分が作成した一覧図に戸籍謄本を併せて提出します。その後に登記官と呼ばれる方が一覧図に書かれた相続人に誤りがないか、戸籍謄本を読み解いて確認が行われます。

そのため、預貯金解約や不動産の名義変更など具体的な手続きを行う前段階で、相続人のチェックが行われますので、その後の手続きがスムーズになります。これはこの制度の大きなメリットです。

申出は代理人に任せられる

法定相続情報証明制度の申出は弁護士や司法書士、行政書士などの専門家が代理することができます。

郵送の申出もできる

法定相続情報証明制度の申出は郵送ですることもできます。その際には返信用の封筒や切手を準備する必要があります。

法定相続情報証明制度のデメリット

ここからは法定相続情報証明制度のデメリットについて説明します。

法務局で一覧図の作成はしてくれない

証明を受ける法定相続情報一覧図は法務局で作成してくれるわけではなく、ご自身で作成しなければなりません。ご自身で作成した一覧図を法務局の登記官が戸籍謄本と照合して、誤りがなければ、その後の手続きで戸籍謄本の代わりとして使えるように証明しますよ、というのがこの制度です。この点は誤解のないようにしてください。

そのため、制度を利用するには相続人の方がご自身で必要な戸籍謄本を集めて、相続関係を一覧図に落とし込まなければならず、慣れてない方には負担に感じるところです。一覧図の様式は法務局のホームページにいくつか用意されていますが、複雑な相続関係で、あてはまる様式がない場合は、作成に時間がかかることがあります。

また、ご自身で作成した一覧図に誤りがある場合には登記官から何度も訂正を求められますので心が折れないよう注意してください。

相続放棄した情報は記載されない

法定相続情報一覧図に記載する情報は、誰かが亡くなって、そのときに相続人となる人です。そのため、相続放棄があって新たに被相続人の兄弟が相続人になったなどの情報は記載がされません。新たに相続人となった方を確認するためには、戸籍謄本を追加して提出しなければなりませんので、相続放棄が行われた相続ではこの制度を利用して手続きを行うことはふさわしくありません。

二次相続の場合にも使いにくい

さらには、相続手続きが完了しないうちに相続人が亡くなって、新たな相続が生じているような二次相続や三次相続ではそれぞれにおける相続の一覧図を作成しなければなりません。

例えば10年前に亡くなった祖父の不動産の相続手続きをしようとする場合に、その相続人である父(祖父の子ども)も2年前に亡くなっていたとします。このときに作成する一覧図は10年前に祖父が亡くなったときの相続関係を示すものが1枚と、2年前に父が亡くなったときの相続関係を示すものが1枚の合計2枚の一覧図が必要になります。

ですから二次相続であれば一覧図が2枚、三次相続では一覧図が3枚となり、誰が最終的に相続人なのか分かりづらくなることがあります。

このようなケースでは従来通り、相続関係説明図と戸籍謄本をセットにして手続きを進めてください。相続手続きを長年放置したことの代償ですから仕方ありません。

法定相続情報証明制度ご利用の手順

では法定相続情報証明制度の利用の仕方について順を追って見ていきます。

1 必要書類の収集

手続きにあたって、用意する必要書類には次のものがあります。

・被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本

 生まれてから死亡までの一連の戸籍謄本が必要です。一生に何度も本籍地を変えている方は何通にもなり、複数の役所で請求しないといけないこともあります。

・被相続人の住民票の除票

 除票とは死亡したことにより住民票から除かれたものです。

・相続人の戸籍謄本

 相続人となる方全員の現在の戸籍謄本です。遺産をもらう、もらわないに関わらず相続人となる方全員分が必要です。

・申出人の氏名と住所が確認できる公的書類

 申出人は相続人の代表として相続手続きを進める方です。運転免許証のコピーやマイナンバーカードのコピー、住民票の写しを用意します。

以上が、必ず用意しなければならない書類です。

・場合により必要となる書類

また、場合によって必要となる書類には一覧図に住所を記載する際の「相続人の住民票の写し」、代理人が申出をする際の「委任状」や「資格者証」、被相続人の住民票の除票が取得できない際の「戸籍の附票」があります。

住民票の除票は令和元年に法改正がされて今では保管期間が150年になっていますが、以前の保管期間は5年間だったため平成26年以前に亡くなった方の除票については廃棄されて取得できない場合があります。そのときには戸籍の附票を取得して最後の住所地を確認します。

2 法定相続情報一覧図の作成

戸籍謄本を全て取得できたら法定相続情報一覧図を作成します。様式は法務局のホームページにありますので、ダウンロードして必要情報を入力します。

ホームページには誰が相続人になるかによって、いくつかのパターンが用意されていますので、ご自身の相続関係にあてはまる様式を利用して作成してください。

ただし、ご自身にあてはまる相続関係の様式が用意されていない場合は、修正を加えるなどして作成する必要があります。

3 法務局への申出

法定相続情報一覧図が作成できたら申出書に必要事項を記入し、用意した書類などとともに法務局へ法定相続情報証明制度利用の申出を行います。このときに必要となる法定相続情報一覧図の写しの枚数を申告します。

申出ができる登記所は①被相続人の本籍地、②被相続人の最後の住所地、③申出人の住所地、④被相続人名義の不動産の所在地を管轄している登記所(法務局)です。

申出を郵送で行う場合は、返信用の封筒と切手を同封して送付してください。

申出が終わると登記官によって提出書類に不足や誤りがないかチェックされます。仮に不足や誤りがあって、追加書類や訂正書類の提出が求められると、手続きがそれだけ遅れることになります。

4 法定相続情報一覧図の写しの交付

全ての書類の提出と確認が終わると、「法定相続情報一覧図の写し」が交付されることになります。

そして交付された法定相続情報一覧図の写しは預貯金解約や不動産の名義変更などの相続手続きで戸籍謄本に代えて相続関係を証明する書類として利用ができるわけです。

以上、今回は法定相続情報証明制度と法定相続情報一覧図について解説しました。

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