相続放棄してもなお残る管理責任とは

相続放棄をすれば、煩わしい手続きから一切解放される。

そのように思っている方は多いのではないでしょうか。

実は相続放棄したからと言って「私はもう関係ありません」と、全くの無関係とはならない場合があるので注意が必要です。

相続したくないなら、相続放棄すればいい!?

相続放棄が家庭裁判所に認められると、その相続人は、その相続に関しては、最初から相続人ではなかったものとみなされます。

相続放棄を行う典型例は、相続財産に多額の借金があるような場合です。

相続放棄をするには、自己のために相続が発生したこと知ったときから、3か月以内に家庭裁判所に対して相続放棄の申述手続きを行う必要があります。

「葬儀のあと、バタバタしていて気が付かなかった…」

「書類が埋もれていて期限が過ぎていた…」

そんな失敗がないように注意する必要があります。

この期間制限のほかにも、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときや、相続放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部をこっそり隠したり消費したり、または相続財産の目録へ記載しなかったときには、相続放棄の言い分は認められず、相続を承認したものとみなされてしまいます。

また、相続放棄の手続は複雑で、ご自身の相続関係によって、必要書類や管轄の裁判所も微妙に異なってきます。

手続きの中でミスや不足があると、相続放棄の期限に間に合わなくなり、借金や債務を抱え込むことになるケースもあります。

相続放棄をお考えの方は、まずは専門家にご相談いただくことをおススメします。

相続放棄後の管理責任

通常は、相続放棄さえしてしまえば、相続による負担からは解放されます。

しかし、残念ながら、相続放棄を行った後にもなお、負担が残るケースもあります。

それが、相続放棄後の相続人の管理責任です。

相続放棄をしたからと言って、知らぬ存ぜぬという立場にはなれないのです。

民法第940条の規定を見てみましょう。

「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と示しています。

どういうことか言うと、相続人となる順位は規定されていて、まずは亡くなった人の「配偶者と子ども」が相続人となります。

ここで子どもが相続放棄すると、次には亡くなった人の両親・祖父母に相続の順番が回ってきます。両親・祖父母がいなければ兄弟が相続人となります。

従って、最初に相続放棄をした子どもは次の相続人である両親・祖父母あるいは兄弟が相続財産の管理ができるようになるまでは、自身が管理をしなければならないことになっているわけです。

これが相続放棄後の相続人の管理責任です。

例えば、相続財産に森林や、老朽化した家やお店などがある場合には、森林の木が敷地外に倒れて道路をふさいだり、老朽家屋が崩れて隣地に迷惑をかけたり、第三者に怪我をさせたりしないよう管理する責任があります。

しかしながら、相続財産に多額の借金があり、とても払えないような状況だと、第2順位の両親・祖父母や第3順位の兄弟も同様に相続放棄するケースもあります。

すると、相続放棄したはずなのに、後順位の相続人がその相続財産を管理できるようにならないため、結果的に、いつまでも自分に管理責任が残るという事態に陥ってしまいます。

管理責任から免れるためには?

この管理責任を回避する方法としては、「相続財産管理人」の選任を行って、相続財産管理人に管理を委ねるやり方があります。

相続財産管理人

相続財産管理人は、相続人が全員放棄してしまい、相続人が誰もいなくなった場合に、利害関係者からの請求によって、家庭裁判所から選任がなされます。

そして、相続財産を調査し、管理し、またはお金に換えて債権者に必要な支払いを行うことなどを役割とする人物です。

相続放棄をしても今なお管理責任を負っているもともとの相続人は、管理義務から免れようとするためには、まずは相続財産管理人の選任を申立てる必要があるわけです。

亡くなった人が借金をしていた場合は、その債権者が遺産を競売するために選任を申立てることもあります。

ただ、相続財産管理人選任を申し立てる際には、相続財産管理人の報酬や費用にあてるための予納金が必要となります。

これが実は、相続放棄した相続人にとって、かなり負担が大きく悩ましい問題となります。

相続財産管理人の費用は誰が負担しないといけないという決まりはありませんが、手続きを進めるためには誰かが負担しなければならず、実質的には管理責任から早く逃れたいと思っている元の相続人が負担する場合が多くなっています。

予納金の金額は、事案の内容によって家庭裁判所が決定しますが、20万円程度で済むこともあれば100万円になることもあり、多額の持ち出しで相続放棄をした意味がなくなってしまうケースもあります。

相続財産管理人が選任されると、その管理人が法律に従って財産を整理していくことになりますが、最終的に処理が終わるには概ね1年ほどの期間を要するケースが多いようです。

そして、最終的に残った財産は国のものとなります。

いかがでしょうか。相続放棄によっても、きれいさっぱり煩わしい相続から免れることができない理由があることをお分かり頂けたかと思います。

財産管理を放置したことから建物が倒壊して第三者に被害がおよび、損害賠償を請求された事例もありますので、費用がかかってでも相続財産管理人を選任してもらい財産を処分してもらうことが良いのか、よくご検討頂ければと思います。

以上、今回は相続放棄をしてもなお残る遺産の管理責任について解説しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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