みなさん、こんにちは。香川のマラソン行政書士の山岡です🎽
『行政書士の円満相続大作戦』へようこそ。
このブログでは初めての相続を失敗しないためのヒントや情報をお伝えしています。
今回は、公正証書で遺言書を作成するときに利用する「公証役場」について解説します。
「役場」と呼んでいますので、私達が普段、住民票を取ったり行政相談を行ったりする町役場や市役所をイメージする方が多いのではないでしょうか。
しかし、この公証役場はこれらの機関とは全く違うものです。
ひょっとすると、縁のない方は一生利用する機会がないかもしれません。
公証役場は法務省が管轄する機関で、全国に約300か所設置されています。香川県の場合は、高松と丸亀に設けられています。
主な業務は?
公証役場で行われている主な業務には公正証書の作成、会社を設立するときの定款認証、私署証書への確定日付の付与があります。
そして、遺言書の作成は公正証書の作成業務にあたります。
公正証書とは
公正証書とは、簡単に言うと「公に作成された文書」という意味です。
例えば、遺言書であったり、契約書などは当事者が作成するものですが、後になって本当に本人が書いたものかどうか疑いを持たれて、トラブルになることがあります。
特に、遺言書を使うときというのは、書いた本人は亡くなっていますので、本人が書いたものかどうか確かめるにも限界があります。
そこで、遺言の効力を確実なものとするため、公正証書で作成する必要性が高まる分けです。
また、作成された遺言は公証役場に保管されますので、遺言者が紛失した場合にも遺言は無効にならず、請求すれば謄本(写し)を交付してくれます。
公証人とは
公正証書は法務大臣から任命された判事や検事などを長く務めた法律に詳しい「公証人」と呼ばれる人物が作成します。
公証人が作成することで、その遺言書は間違いなく本人の意思によって書かれたものとされます。
そして、よっぽど有力な証拠でもない限り、無効になることはありません。
私達専門家が遺言書作成で公正証書遺言をお勧めする理由はここにあります。
公正証書遺言作成当日のながれ
では、次に公証役場で遺言書を作成する際の当日の流れを見ていきましょう。
約束の日時に公証役場に行くと、机と椅子のある部屋に案内されます。
公証人に対面するように、遺言者と証人2人が着席します。
挨拶の後、公証人が本人確認を行います。持参した実印と印鑑証明書の印影に相違がないかなどをチェックします。
このとき認知症が疑われる場合は、その後の手続きが無駄となりますので、意思状態を確かめるいくつかの質問がされ、遺言書を作成するに足る状態であるかどうかの判断がされます。
遺言者の意思状態の確認が終わり、遺言書作成に問題がなければ遺言者から遺言内容のヒヤリングに移ります。
遺言者は誰に何の財産をどのように渡すのかなどを口頭で伝えます。
そして、遺言内容のヒヤリングが終わると、公証人は文書にして、遺言者と証人に読み聞かせます。
内容に間違いがなければ、遺言者と証人が遺言書に署名し押印します。
公証人は最後に署名、押印し、製本がされて遺言書は完成します。
多くの場合、遺言書は3通が作成されて1通(正本)が公証役場に保管されます。残りの2通(謄本)は遺言者本人に渡されます。
最後に費用を支払って全ての手続きが終了です。
遺言書作成当日の所要時間はおよそ30分から1時間です。
あらかじめ、公証人と遺言内容の打合せをしておくと、スムーズに短時間で済ませることができます。
高齢で体力に自信のない方は事前に打合せを行ってから作成本番を迎えることをお勧めします。
いくらでできる?
公証人に支払う手数料は手数料令で定められていて、1人が相続しようとする財産の額により異なります。
財産の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以内 | 5000円 |
100万円超200万円以内 | 7000円 |
200万円超500万円以内 | 1万1000円 |
500万円超1000万円以内 | 1万7000円 |
1000万円超3000万円以内 | 2万3000円 |
3000万円超5000万円以内 | 2万9000円 |
5000万円超1億円以内 | 4万3000円 |
1億円超3億円以内 | 5000万円ごとに1万3000円加算 |
3億円超10億円以内 | 5000万円ごとに1万1000円加算 |
10億円超 | 5000万円ごとに8000円加算 |
遺言加算 | 全体の財産額が1億円以下の場合1万1000円を加算 |
では、1億円の相続財産を妻一人に相続させる場合と、妻に6,000万円、長男に4,000万円と分けて相続させる場合とで、手数料を計算してみます。
妻一人に相続させる場合、43,000円の手数料に遺言加算が11,000円、これに謄本手数料約3,000円が加わり、支払う手数料は57,000円です。
妻に6,000万円、長男に4,000万円と分ける場合は、妻の手数料が43,000円、長男の手数料が29,000円、これに遺言加算と謄本手数料を合わせると、86,000円となります。
また、遺言者の足が悪いとか病気などの理由で、公証役場に自ら行くことができない場合は、公証人に自宅や病院への出張を依頼することができます。
このときは、公証人の日当や交通費が発生します。
公証役場はどこの公証役場を利用しても構いません。
遺言者の自宅の近くでも病院の近くでも良く、証人になってくれる人に配慮して証人の都合に合わせる選び方も可能です。
以上、今回は公証役場について解説しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました🙇♀️
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