遺産分割の禁止

相続手続き

今回は、遺産分割の禁止について解説したいと思います。よろしくお願いします。

被相続人が土地や建物などの不動産や預貯金を残して亡くなった場合、相続人は遺産をどのようにして分けるのか遺産分割協議を行うことになりますが、亡くなってすぐに、この遺産分割協議を行うことが妥当でないケースもあります。

Contents

1 遺産分割を禁止した方がよいケース
2 遺産分割を禁止できる期間
3 遺産分割禁止の方法
4 遺産分割の禁止と相続税申告
5 相続のご相談はこちら
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- 5.2 関連

遺産分割を禁止した方がよいケース

例えば、相続人に未成年者がいる場合、特別代理人を立てることと規定されています。

特別代理人の選任は家庭裁判所への申立て手続きが必要となる上に、親族同士の話し合いに第三者が入ることで、遺産分割の話し合いがこじれてしまうことも考えられます。

このような事態を避けるため、あらかじめ未成年者が成人して遺産分割協議に参加できるようになるまでは、遺産分割を禁止しておくわけです。

その他には海外に単身赴任している相続人がいて、帰国してからゆっくりと遺産分割の話し合いに加わった方がもめないだろうという場合。

遺産のほとんどが土地建物で、遺産分けをすることで妻の住む所がなくなってしまう可能性がある場合などのケースが考えられます。

このようにある程度の期間をおいて遺産分割したほうが、スムーズに遺産分割できると考えられる場合には、遺産分割を禁止するメリットがあります。

遺産分割を禁止できる期間

遺産分割を禁止できる期間は5年以内とされています。5年以内であれば2年でも3年でもその期間を定めることができます。

遺産分割禁止の方法

では次に、禁止の方法について見ていきたいと思います。

遺産分割を禁止する方法には主に①遺言による禁止、②家庭裁判所による禁止、③相続人全員で禁止を決める場合があります。

遺言による禁止

財産を所有する被相続人が生前に家族などの相続人に対して禁止を言い渡すことができるのは遺言書に記載する方法です。

反対に遺言書でなければ生前に遺産分割の禁止を行う手段はありません。

ただし、遺言書で禁止をした場合であっても、全ての相続人が合意して遺産分割しても良いと判断した場合には遺産分割ができる場合があります。

遺言書への書き方については「遺言者は、遺言者の有する全ての不動産について、その分割を遺言者の死亡後5年間禁止する。」などとして、分割を禁止する遺産の範囲や期間を記載します。

遺言書自体が規定された要件を満たしておらず無効になる場合は、遺産分割の禁止も無効になります。

家庭裁判所による禁止

特別の事由がある場合、家庭裁判所は遺産分割を禁止することができます。

特別の事由にあたるのは次のようなケースです。

相続財産や相続人が明確になっていないなど、遺産分割の前提となるところが不十分でこのまま遺産分割したのでは紛争が起きかねない場合。

土地の境界について隣人と争っていたり、訴訟がまだ終わっていない場合。

事業で使っている不動産を分割して売却されては、事業の継続が困難となることが明らかである場合。

株式など市場の影響を受ける相続財産がある場合に、それらの価額が著しく低下していて、すぐに換価すると相続人に大きな損失が出てしまう。

このように、すぐに遺産分割をすることが好ましくなく、相続人に不利益を生じさせてしまうときは遺産分割を禁止することができます。

相続人全員で禁止とする場合

相続人全員で遺産分割を先延ばしした方がよいと合意した場合には、一定期間、遺産分割を禁止することができます。

このときは、相続人全員の合意があったことや合意内容については、後々トラブルにならないように書面に残すようにします。