孫に遺産を渡す4つの方法

みなさん、こんにちは。

今回は「孫に遺産相続させる方法」について解説したいと思います。よろしくお願いします。

こちらのイラストをご覧ください。

Aさんは年齢が90歳を超えて、ご自分が亡くなったときの遺産相続が気になっています。

Aさんが亡くなった場合の法定相続人には配偶者のBさん、長男のCさんと次男のDさんがいます。相続財産にはAさん名義の土地・建物があります。

本来であれば、法定相続人のうちの誰かに相続してもらえればいいのですが、Bさん、Cさん、Dさんとも高齢になっていますので、できれば家の管理のこともあるし、Cさんのお子さんEさん(Aさんのお孫さん)に譲りたいと考えているケースです。

このとき、お孫さんが遺産を取得するためには、以下の方法が考えられます。

遺言書の作成

1つ目の方法は遺言書の作成です。

遺産相続では、原則的には法定相続人が財産を相続することになりますが、遺言書を作成しておくことで法定相続人ではないお孫さんに遺産を渡すことができます。

遺言書では、「遺産の全部または2分の1」などと割合を指定したり、「○○番地の土地・建物」などと特定の財産を指定して渡すことができます。

このときの注意点はお孫さんが財産を受け取る場合、相続税額がお孫さんの分については2割増しとなります。

養子縁組

2つ目の方法は養子縁組です。

Aさんとお孫さんが養子縁組をすることによって、お孫さんはAさんの子となり、相続権を持つことができます。

養子縁組をして子になった場合でも、相続分は実子と同じです。

相続人が1人増えますので、相続税がかかる場合は、基礎控除額を1人分増やすことができます。

ただし、節税目的の養子縁組を排除するため、養子にできる人数は実子がいない場合は2人まで、実子がいる場合は1人までと決まっています。

このときの注意点は、相続税がかかる場合、お孫さんが財産を相続すると「相続税の2割加算」が適用されることです。

代襲相続

3つ目は代襲相続があります。

代襲相続とはAさんのお子さんであるCさんが既に亡くなっている場合に、そのお子さんであるEさんが代わって相続することを言います。

代襲相続では、本来相続するはずだったCさんの相続割合を代襲人Eさんがそのまま引き継ぎます。

代襲相続の場合は、結果的にお孫さんが相続する形になっても「相続税の2割加算」は適用されません。

ここまで、お孫さんに遺産相続させる方法として、遺言書、養子縁組、代襲相続の場合を見てきました。

最後に相続分の譲渡について説明します。

相続分の譲渡

相続分の譲渡とは自分が持っている相続分を他の人に渡すことです。

例えば亡くなったAさんの配偶者であるBさんには法定相続分として遺産の2分の1を取得する権利を持っています。同様にCさんは4分の1、Dさんも4分の1の相続分があります。

Bさん、Cさん、Dさんともに高齢で、この先、不動産管理は体力的にも厳しいのでCさんのお子さんEさんにできれば任せたいと考えている場合、それぞれが持っている相続分をEさんに譲渡することができるわけです。

この譲渡は無償でも有償でもよく、譲渡を受けた人は相続人と同様の立場になり、遺産分割協議に参加できるようになります。

譲渡は全くの第三者にもできますが、親族でもない人が遺産分割協議に参加できるとなるとトラブルに発展しかねませんので、注意が必要です。

譲渡を行う場合は、一般には「相続分譲渡証書」などの書面を作成して、譲渡人と譲受人が署名捺印して証拠を残すようにします。

また、相続分の譲渡を行う際には税金について理解しておく必要があります。

今回、Bさん、Cさん、DさんからEさんに対して無償で相続分が譲渡された場合、譲り受けた相続分は贈与税の課税対象になります。相続税がかかる場合は、相続税も負担しなければなりません。

一方、有償で譲渡した場合、例えば500万円で相続分を譲ったとすると、譲渡人は500万円に対して譲渡所得税が課せられるとともに、結局500万円は相続したのと同じこととみなされて、相続税についても課税対象となります。

相続放棄との違い

最後に相続放棄との違いについて説明します。

自分の相続分をまるまる誰かに譲渡した場合、何も相続しないのですから相続放棄と同じことかと思われるかもしれませんが、相続人という立場は残ります。完全に相続関係からは離脱したことにはなっていません。

相続放棄の場合は、元々相続人ではなかったものとみなされますので、相続関係からは離れることになり、ここに違いがあります。

どういうことかと言いますと、後から借金が見つかったような場合、債権者は相続分の譲渡人に対して請求ができ、請求を受ければ支払い義務が生じます。

一方、相続放棄の場合はもともと相続人ではなかった立場となりますので、支払いを請求されても、支払義務は生じません。

以上、今回は孫に遺産相続させる方法について解説しました。

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