遺言トラブルには付言が効く

みなさん、こんにちは。香川のマラソン行政書士の山岡です。

『行政書士の円満相続大作戦』へようこそ。

このブログでは、初めての相続を失敗しないためのヒントや情報をお伝えしています。

遺言書は、誰に何の財産を渡すのかを伝えるために作成するものですから、法律で定められている事項以外のこと(例えば、渡した預貯金の使い道や土地の活用方法など)を記載しても法的な効力はありません。

しかし、なぜこのように財産を分けようかと考えたのかを伝えることができると、相続するご家族の方の気持ちも整理がつけやすくなります。

遺留分に注意

長男と次男の2人の子どもがいるとして、父親が「全ての財産を長男に相続させる」という内容の遺言を遺したとしたらどうでしょうか。

父親には、先祖代々守ってきた土地やその他の財産を後を継ぐ長男に託す意味も込めて遺言したとしても、次男にその思いが伝わらなければ「不公平感」を持つだけで、兄弟関係を悪化させ、遺留分請求に発展するかもしれません。

遺留分とは、相続人が持つ財産の最低限の取り分のことで、次男は法定相続分の2分の1にあたる4分の1を長男に請求することができます。

そして、請求された長男は請求された財産を渡さなければならず、財産のほとんどを不動産が占めるような場合、代償金を用意したり、不動産を分割しなければならなくなります。

付言事項によるトラブル回避策

そこで、遺言書を書く際にお勧めしているのが「付言(ふげん)事項」の記載です。

この付言事項は、先に挙げた法律で定められた事項以外のものですので、法的効力はありません。

ただ、簡単な言葉でもあるのとないのとでは大きな違いがあり、遺言書を読んでいる際に自分のことが記載されていたり、家族への想いが綴られていれば、心に響くものがあるはずです。

そして、相続人1人に財産を多く渡す内容の遺言を遺した場合には、なぜこのような遺言としたのか、その経緯を記すことで、多少不平等な相続であってもトラブル回避につなげることができます。

付言事項作成のポイント

付言事項を記載する際には、次の点に気を付けましょう。

感謝の気持ちを書く

誰に対して、どのような感謝をしているのかを記載します。生前の思い出やエピソードを具体的に取り上げて書くようにします。

遺言の経緯を書く

相続トラブルを防ぐために最も重要なところです。

遺言内容に不平不満を持って、そこで家族関係が壊れてしまっては逆効果です。そのため、なぜこのような遺言内容に至ったのか、経緯をしかっりと記載します。

否定的なことは書かない

生前に特定の家族から嫌なことをされたとか、全く面倒を見てくれなかった子どもがいる場合に、その人を否定するような言葉を書くことは控えます。

否定的な言葉を書かれた本人とその他の家族間にしこりを残したり、断絶につながる可能性があります。

付言事項の文例

付言事項は下記のように遺言書の最後に記載します。

遺言書

遺言者である私〇〇〇〇は、次の通り遺言する。

1 長男の〇〇に次の不動産を相続させる。
  土 地 所 在 香川県三豊市〇〇町
      地 番 111番
      地 目 宅地
      地 積 400㎡
  建 物 所 在 香川県三豊市〇〇111番地
      家屋番号 111番
      種 類 居宅
      構 造 木造
      床面積 300㎡
2 次男の〇〇に次の財産を相続させる
  ☐☐銀行☐☐支店の普通預金、定期預金
3 上記以外の財産は、全て長男の〇〇に相続させる
4 付言事項
  【ここに付言事項を記載します】

令和2年5月5日
香川県三豊市〇〇町111番地
遺言者 ○○ ○○ ㊞

付言事項の例1

私は、妻と3人の子どもたちに恵まれ、幸せな人生を送ることができました。妻には、安心した老後を過ごしてもらいたいので、2人で築いた土地と建物を渡すことにしました。

この不動産だけで、遺産の半分を超えますが、3人の子どもたちはお母さんに対して遺留分は請求することのないようにしてください。

一郎と次郎には大学を卒業するまで、父親としてできる限りの援助はしてきたつもりです。

景子には私の介護で苦労をかけてしまいましたね。景子に対して、一郎や次郎より多くの現金を渡すことにしたのは、そのような気持ちからです。

父の最後の遺志を汲んで、速やかにこの遺言が執行されることを願っています。

付言事項の例2

私はできるだけ、兄弟平等に財産を渡したいという気持ちからこの遺言書を遺すことにしました。まずは、このことを理解してください。

2人にとって十分なものは遺せたとは思いませんが、私の財産を巡って兄弟が争うことだけはして欲しくありません。

不動産については、2つあれば良かったのですが、残念ながら自宅しかありません。

この自宅は先祖から大事に受け継がれてきたもので、これからも継いで欲しい思いがあるので、長男の浩史に渡します。

次男の貴史には預貯金を渡しますのでそれで理解してください。

私の死後も兄弟仲良く、力を合わせて暮らしてください。

付言事項の例3

長男一郎の嫁智子さんには、長年私の介護を献身的にしてくれて大変感謝しています。

介護中の智子さんはいつも笑顔で、尽くしてくれました。多くの苦労と負担をかけてしまいましたね。

その苦労に報いるために、私は智子さんにも財産を渡すことにしました。

長男の一郎と次男の二郎には、私の気持ちを十分理解してください。

そして、この遺言で家族同士がもめることのないようにしてください。父の最後のわがままです。どうかお願いします。

以上のように、付言事項は感謝の気持ちや苦労をかけた事など家族へのメッセージとして、または、相続人1人に相続分を多く遺すことの理由など遺言内容の補足として活用することができます。

本文中で説明しきれないことを補充して経緯や遺言の意味をしっかりと伝えることができます。相続人1人づつにも触れていれば、より思いを伝えることができるでしょう。

以上、今回は遺言書に記載する付言事項について解説しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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