代襲相続の基礎知識

今回は代襲相続について解説します。よろしくお願いします。

相続手続きを行っていく上では、誰が相続人になるのかを調べて確定させる必要があります。

そこで、知っておかなければならないのは、親より先に子どもが亡くなっているようなケースでは、相続権がさらにその下の子どもへと移動するルールがあることです。

これを「代襲相続」と言いますが、理解があいまいだと、相続人を間違うことがありますので、正しく知っておく必要があります。

代襲相続とは

代襲相続とは、被相続人(亡くなった方)が死亡したときに、本来相続人になるはずだった人が、既に死亡していた場合に、その子どもなどが代わって相続することを言います。

例えば、Aさんが亡くなったときに、Aさんの子どもBさんが先に亡くなっている場合は、Bさんの子どもCさん(Aさんの孫)が相続人になります。

Cさんのように新たに相続人になった人を「代襲相続人」、Bさんのことを「被代襲者」と呼びます。

代襲相続人になる範囲

代襲相続人になるのは、次の二つの場合があります。

✔死亡した相続人の直系卑属(子や孫)

✔死亡した兄弟姉妹の子(甥や姪)

直系卑属が代襲する場合

下記のイラストは、父親が被相続人ですが、長男は父親より先に他界しており、長男の子ども(被相続人の孫)が相続人となる代襲相続の例です。

もし、長男の子どもも既に死亡している場合だと、さらにその子どもが相続人になります。

このように直系卑属が代襲相続人になる場合は、下へ下へと相続権が移動します。

養子がいる場合の注意点

注意事項として、被相続人に養子がいる場合があります。

養子は実子と同様に相続人になりますが、養子の子どもが代襲相続人になるか、ならないかは養子の子どもの生まれたときがポイントになります。

養子縁組した後に生まれている養子の子どもは、直系卑属なので代襲相続人になります。

一方で、養子の連れ子のように養子縁組の前に生まれている養子の子どもは、直系卑属ではなく、代襲相続人にはなりません。

兄弟姉妹の子どもが代襲する場合

次は、被相続人の兄弟姉妹が相続人のケースです。

長男が亡くなり、本来なら二男と長女が相続人だったのですが、長男より先に二男が亡くなっているため、二男の子ども(被相続人の甥)が相続人となる代襲相続の例です。

先程の直系卑属が代襲相続人となる場合と異なるのは、亡くなった相続人が兄弟姉妹の場合の代襲は、甥や姪までで、甥や姪が死亡していてもさらにその子どもへとは代襲しない点です。

代襲相続人の相続分

代襲相続人の相続分(遺産の取り分)は本来相続人となるはずだった被代襲者の相続分をそのまま受け継ぎます。

代襲相続人が複数の場合は、引き継いだ相続分を代襲相続人の人数で分けることになります。

父親が亡くなって、本来の相続人は配偶者と長男と二男でしたが、長男が父親より先に亡くなって代襲相続が生じているケースです。

代襲相続人は長男の2人の子どもです。

このケースでは、本来相続人となるはずだった長男には4分の1の相続分がありましたので、その相続分をそのまま長男の子ども2人で引き継ぎますので、代襲相続人1人につき8分の1となります。

相続放棄と代襲相続

相続放棄と代襲相続の関係について説明します。

これまで、被相続人の死亡よりも先に相続人が亡くなっている場合には、その子どもが代襲相続人となって相続権を受け継ぐことを説明してきましたが、相続人が相続放棄していたらどうなるのでしょうか。

民法では、相続放棄した人がいる場合、その人は最初から相続人ではなかったものとみされるという規定があります。

つまり、相続権のない人から、その子どもに相続権が引き継がれることはなく、相続放棄した人から代襲相続はしないことになります。

相続欠格と相続廃除

最後に、相続欠格と相続廃除の場合を説明します。

どちらも、相続人がした行為や不正によって相続権を失う制度ですが、相続欠格と相続廃除によって相続人ではなくなった場合は、相続放棄とは違って代襲相続が生じます。

相続欠格とは

相続欠格は、相続人が次のような犯罪行為や不正をした場合に相続権を失う制度です。

故意に被相続人または先順位若しくは同順位にある相続人を死亡させ、または、死亡させようとしたために、刑に処せられた

被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった

詐欺又は強迫によって、被相続人が遺言書の作成や、変更することなどを妨害した

詐欺又は強迫によって、被相続人に遺言書を作成させ、または変更などをさせた

遺言書を偽造、変造、破棄、または隠匿した

相続廃除とは

相続廃除は、相続人(被相続人の兄弟姉妹を除く)が次の行為をした場合に、被相続人が家庭裁判所に請求し、家庭裁判所の審判や調停によって、その相続人の相続権を失わせるものです。遺言ですることもできます。

被相続人に対し虐待や重大な侮辱を加えたとき

相続人に著しい非行があったとき

以上、今回は代襲相続の基礎知識について解説しました。

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