遺言の財産って放棄できるの?

遺言書では「Aさんに遺産の2分の1を遺贈する」とか「Bさんに〇〇にある土地建物を遺贈する」など、遺言者から渡す財産の内容と誰にその財産を渡したいのか、渡したい人の指定がされます。

しかし、財産を受け取ることになった人の中には「このようなものをもらってくれと言われても困る」という方もいるでしょう。

土地や建物などの不動産を受け取れば毎年、固定資産税を払わなければならなくなりますし、管理費用もかかります。

また、価値のある骨董品を受け取っても置き場所に困りますし、すぐに売り払うのも亡くなった人が大切にしてきたものだけに、気が引けてしまいます。

遺言で財産を譲ろうとしてくれた気持ちはありがたいが、できれば受け取りを辞退したいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、遺言で渡されることになった財産の受け取り放棄ができるのかどうかについて、解説したいと思います。

遺贈とは

まず、「Aさんに遺産の2分の1を遺贈する」、「Bさんに○○にある土地建物を遺贈する」など遺言によって、特定の方に遺言者の財産の全部または一部を贈与することを「遺贈」と言います。

この遺贈には2種類があって、「Aさんに遺産の2分の1を遺贈する」というように、家や土地、預貯金などのような特定の財産を示すのではなく、遺言者の全ての遺産もしくは一定の割合を示して行う遺贈を「包括遺贈」と言います。

一方、「Bさんに○○にある土地建物を遺贈する」など特定の財産を示してする遺贈は「特定遺贈」と呼ばれます。

そして、包括遺贈、特定遺贈どちらの場合も、遺言書に書かれた財産を受取りたくない場合は、受取りを放棄することができます。これを「遺贈の放棄」と言います。

ただし、遺贈の放棄は包括遺贈と特定遺贈とで、方法が異なります。

では、その違いについて見ていきましょう。

包括遺贈の放棄

包括遺贈の放棄は「Aさんに全財産を遺贈する」とか「Bさんに遺産の2分の1を遺贈する」などの遺言がされた場合にその遺産の受け取りをしたくない場合に行うものです。

ここでのポイントは、包括遺贈がされた場合、財産を受け取る人は、相続人と同じ権利義務を有するという点です。

「全財産」や「遺産の2分の1」と記載されたとき、その財産には預貯金や土地建物など「プラス財産」に加えて、借金や保証など「マイナス財産」も含まれることになります。

そのため、遺言書作成当時には1円も借金がない場合でも、その後の事情によって、死亡したときにいくらかの借金・債務があれば、それも財産として受取りの対象になります。

そして、財産を受け取る者は、都合よく預貯金だけを受け取って、借金は受け取らないということはできません。

そこで包括遺贈があった場合に、その財産の受取りを放棄したいときは相続人と同様、「相続放棄」の規定が適用されます。

その結果、包括遺贈の放棄をする場合は、自己のために包括遺贈があったことを知ったときから3ヵ月以内に、家庭裁判所に対して、包括遺贈放棄の申立てをしなければなりません。

包括遺贈を受ける場合には、マイナス財産が残っていないかどうか、期限内にしっかりと財産調査をする必要があります。

特定遺贈の放棄

特定遺贈の放棄は「Aさんに○○にある土地建物を遺贈する」とか「Bさんに○○銀行の普通預金を遺贈する」など、遺言によって渡される財産が特定されている場合に行うものです。

包括遺贈と異なるのは、特定された財産以外についての権利は引き継ぐことはありませんので、借金などの債務は引き継ぐことはないという点です。

そして、特定遺贈の放棄に期限は定められておらず、遺言者の死亡後、いつでもすることができます。

また、家庭裁判所への申立て手続きも不要で、相続手続きを進める者(遺贈義務者)に対して、「私は遺言書に書かれた財産の受取りを放棄します」と意思表示をすればよいことになっています。

この意思表示は後になって「言った」「言わない」というトラブルを避けるため、内容証明郵便を使って行うことが一般的です。

そのため、遺言によって思いも寄らず、土地建物を受け取る立場になったとしても、これから先しっかりと維持管理できそうかどうか、問題はないかなどを十分に検討して、受取りの是非を判断することができます。

しかし、いつまで経っても遺産の受取りについて返答しなければ、他の相続人や利害関係者に相続手続きが滞るなどの影響が出てしまいます。

そのため、相続手続きを進める者や利害関係人は、特定遺贈で指定された財産の受取人に対して、相当の期間を定めて、その期間内に財産を受け取るのか、それとも放棄するのかについて回答するよう催告をすることができます。

そして、催告をしたにもかかわらず、何らの意思表示がないときは、その財産についての受け取りを承認したものとみなすことができます。

では最後に今回のポイントをおさらいしておきましょう。

ポイント

①遺言で示された財産の受け取りについて、受け取りたくない場合は遺贈の放棄が可能

②遺贈には包括遺贈と特定遺贈があって、それぞれ放棄の方法が異なる

③包括遺贈の放棄は3か月以内に家庭裁判所に申し出なければならない

④特定遺贈の放棄は遺言者の死亡後、いつでもできる

以上、最後まで、お読みいただきありがとうございました。

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