預金残高がおかしいと感じたら

父親が亡くなって、四十九日の法要も終え、ようやく始まった相続手続き。

同居していた兄に手続きをまかせているのだけど、提示された遺産目録の預金残高がどこかおかしい。

生前に父は「5000万円残しているから、私が死んだら2人で平等に分けるように」と言っていたのに、遺産目録には2000万円しかない。

兄に聞いても、「それだけしか残っていない」と言い張るばかり。

こんな疑問や不信感があるときには、悩んでいないで自ら被相続人(亡くなった人)の預貯金の動きを調べてみましょう。

調べる方法は通帳を預かることができれば、記帳すれば済むことですが、通帳がない場合は金融機関に出向いて残高証明書と取引履歴を取得します。

残高証明書の取得

残高証明書は、金融機関が口座残高の証明をする書面で、いつの時点の残高が必要かは任意に設定ができます。

相続税のかかる相続手続きでは、被相続人の死亡時点での遺産総額を算出する必要があるため、死亡日の残高証明書を取得することが多くあります。

残高証明書の取得ができる人

残高証明書の取得は、法定相続人であれば誰でも取得可能で、他の相続人が手続きしているからと言って、取得できないことはありません。

また、金融機関に直接出向く時間がない場合は、代理人でも取得できます。

必要書類

残高証明書の取得には以下の書類が必要です。

・残高証明書の発行依頼書(金融機関窓口で記入)

・通帳(無くても発行できる場合が多い)

・被相続人の死亡したことが分かる除籍謄本(法定相続情報でも可)

・相続人であることが分かる戸籍謄本(法定相続情報でも可)

・窓口に行く人の印鑑証明書と実印

・窓口に行く人の本人確認書類(運転免許証など)

代理人が手続きする場合

・通帳(無くても発行できる場合が多い)

・被相続人の死亡したことが分かる除籍謄本(法定相続情報でも可)

・相続人であることが分かる戸籍謄本(法定相続情報でも可)

・委任状

・委任者の印鑑証明書

・代理人の印鑑証明書と実印

・代理人の本人確認書類

残高証明書発行に要する時間

残高証明書発行にかかる時間は金融機関によってバラつきがありますが、窓口で即日発行してくれるところもあれば1週間程度で郵送されるところもあります。発行手数料は1通400円~1000円です。

以上が残高証明書の取得方法です。

残高証明書はある時点での口座残高を示すものに過ぎないため、残高証明書取得に指定した日の前後で、預金が引き出されたかどうか、お金の動きを確認するまではできません。

取引履歴の取得

そこで、残高証明書だけでは十分にお金の動きが把握できない場合、次に取引履歴を取得します。金融機関によっては入出金照会とも言います。

これによって、特定の相続人が勝手に被相続人の預金を引き出していた場合、その事実を確認することができ、その使途によっては遺産分割協議の内容にも影響します。

必要書類は残高証明書と同様で、取引履歴についても相続人であれば、他の相続人の同意を得ることなく単独で取得することができます。

多額の出金が見つかった場合

残高証明書と取引履歴の取得によって多額の出金が確認できた場合、出金したお金を何に使ったのかを明らかにしなければなりません。

そして、出金の理由によっては取り戻せる場合と取り戻せない場合があります。

出金の理由が被相続人が借りていたお金の返済であったり、被相続人の生活費や遊興費に充てたものであれば、出金に「正当な理由」がありますので、お金を返すよう要求することはできません。

一方、正当な理由なく勝手にお金を引き出して、自分のために費消し、着服していた場合などは「不当利得」や「不法行為」として、返還請求や損害賠償請求ができます。

不当利得

不当利得とは、法律上の理由なく利益を受けることです。不当利得が成立した場合、不当利得によって損害を被った人は利得を受けた者に対して不当利得分を返還請求することができます。

預金を勝手に引き出した場合は、出金者は法律上、正当な理由なく預金を取得しているため、不当利得が成立します。

不法行為

不法行為とは、故意や過失によって違法行為を行い、被害者に損害を与えることです。この場合には、不法行為者は被害者に損害を賠償しなければなりません。

預金が不正に出金されると被相続人または他の相続人に損害が発生したと言えるので、他の相続人は預金を引き出した相続人に対して、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。

以上、遺産目録に記載された預金残高がおかしいと感じた場合に他の相続人がすることのできる財産調査の方法でした。特定の相続人が預金を勝手に引き出しているのではないかと疑わしい場合は、まずは客観的な資料を取得して確認してみるのがいいのではないかと思います。

そして、相続人が使い込みを認めた場合には、まずは当事者の話し合いによって解決を図りますが、当事者間で話がまとまらない場合は、預金の引き出し行為について民事訴訟で争うことになります。

訴訟にもなると、判決が出るまで長期間となり、身内同士で争うことになりますのでその後の親族関係が壊れてしまう可能性もあります。使いこみを明らかにする十分な証拠も必要になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

相続のご相談はこちら

■三豊・観音寺・丸亀、香川県内のご依頼を承ります。
初回相談60分は無料です。

■山岡正士行政書士事務所
〒769-0402
香川県三豊市財田町財田中2592

■お気軽にお問い合わせください。
📞0875-82-6013
営業時間 9:00~19:00
休日:日曜、祝日

ホームページはこちらです↓↓
https://mayamaoka-gyousei.com

Twitterはこちらです↓↓
https://mobile.twitter.com/qfpqofi3nbkswvm

facebookはこちらです↓↓
https://www.facebook.com/profile.php?id=100011441379458

youtubeはこちらです↓↓
https://www.youtube.com/channel/UCBB5AJ6e9VNL_VyDw9sUL-Q