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借金放棄は相続人有利に
先日、借金放棄に関連する事件の最高裁の初判断がありました🙂
事件の概要
今回の原告は亡くなった父親から借金を相続した娘さんです。
2012年の6月に父親の兄であり娘さんの伯父にあたる人が、多額の借金を残して亡くなりました。
この伯父には、子どもがいましたが同じ年の9月に相続放棄しています。
そのため、次の相続順位であった兄弟に相続権が移り、伯父の弟であり娘さんの父親が相続人となって、借金を相続することになりました😨
この父親ですが、3か月の熟慮期間中に相続するとも、しないとも決めずに2012年10月に亡くなってしまいました。
そして、今回、娘さんに借金が相続されたわけです。
再転相続
このように、相続人の熟慮期間中に相続の承認または放棄をしないまま亡くなって、次の相続人が前の相続人の承認と放棄をする権利を引継ぐ相続を「再転相続」と呼びます。
訴訟の争点
今回の再転相続で争点となったのは、相続放棄の期限は、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」とされていますが、再転相続においては相続の開始はいつになるのかという解釈の部分です。
これまでの場合は、相続した子どもが知っているかどうかにかかわらず、「父親が死亡したとき」が、相続の開始になるとされていました。
しかし、このような運用だと、知らないうちに相続人となって借金を抱えてしまい、自ら考える間もなく、熟慮期間を過ぎてしまいます。
今回のケースでも実際に娘さんが借金を相続していることを認識したのは、債権回収会社から強制執行の通知が送られて来たときであって、父親の死亡から3年が経過しています。
そこで、最高裁ではこれは民法の趣旨に反するとして、前の相続人の死亡時でなく、「自分自身が相続したことを知ったとき」が、相続開始のときだと、相続人有利の判断がされました。
債権回収会社側が熟慮期間の起算点は、父親の死亡したときだとして相続放棄を無効とする主張は棄却されました。
今回の最高裁の判断は、身に覚えのない借金の相続人になった人に、相続の承認と放棄を判断する時間を保障するもので、一つのトラブル解決の道筋を示したと言えます🙂
以上、今回は借金放棄に関する最高裁判断について解説しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました🙇
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