遠方の相続人に連絡を取るときに気を付けること

― 三豊市・観音寺市で相続手続きを進める方へ ―

相続が発生した際、「相続人の中に県外や遠方に住んでいる人がいる」というケースは珍しくありません。
三豊市や観音寺市でも、

  • 子どもが都市部へ進学・就職している
  • 兄弟姉妹が県外に住んでいる
    といったご相談は非常に多く寄せられます。

遠方の相続人への連絡は、対応を誤るとトラブル・手続き停滞・感情的対立につながりやすいポイントです。
今回は、遠方の相続人に連絡を取る際に気を付けたい実務上・法律上・感情面での重要ポイントを、実情も踏まえて分かりやすく解説します。


Contents

1.まず確認すべきは「本当の相続人関係」

連絡を取る前に、必ず確認すべきなのが法定相続人の範囲です。

戸籍を取り寄せずに思い込みで連絡すると、

  • 実は認知された子がいた
  • 前妻との子がいた
  • 不詳と思っていた兄弟が相続人だった
    というケースも少なくありません。

本籍地が市外・県外に分かれている方も多く、戸籍調査に時間がかかるケースが非常に多いです。

✅ まずは

  • 出生から死亡までの戸籍の取得
  • 相続関係説明図の作成
    を行ってから、正確な相続人を確定させましょう。

2.最初の連絡は「電話より書面」が原則

遠方の相続人に、いきなり電話をかけるのはトラブルの元になることがあります。

理由として、

  • 突然の連絡に不信感を持たれやすい
  • 言った・言わないの争いになりやすい
  • 他の相続人から「圧力をかけられた」と誤解される
    といったリスクがあるためです。

👉 最初の連絡は「書面(手紙)」が基本です。

書面には、以下の内容を簡潔・丁寧に記載しましょう。

  • 被相続人が亡くなられた事実と死亡日
  • ご自身が相続人であること
  • 今後、遺産分割の話し合いが必要なこと
  • 連絡先(電話・メール・住所)
  • 感情を刺激しない、事実のみの文面

地元の親族間で話が先に進み、県外の相続人へ後から連絡するケースが非常に多く、ここで不信感が生まれやすいので特に注意が必要です。


3.財産内容を伏せたまま連絡しない

よくあるトラブルが、
「とりあえず印鑑を押してほしい」
「細かいことは後で説明する」
といった連絡です。

これは絶対に避けるべき対応です。

遠方の相続人は、
「何を相続するのか」
「不利な内容になっていないか」
を強く警戒しています。

✅ 連絡時点で、最低限次の情報は開示しましょう。

  • 預貯金のおおよその金額
  • 不動産の所在地(例:三豊市◯◯町、観音寺市△△町など)
  • 借金・ローンの有無
  • 現在の手続きの進行状況

情報を隠すほど、不信感が高まり、遺産分割協議が長期化します。


4.「すぐに会いに来てほしい」は慎重に

遠方に住んでいる相続人に対して、
「三豊まで来てほしい」
「観音寺の実家に集まってほしい」
と一方的に求めると、反発を招くことがあります。

遠方の相続人には、

  • 仕事
  • 子育て
  • 介護
    などそれぞれの事情があります。

✅ まずは

  • オンライン面談(Zoomなど)
  • 郵送と電話の併用
    など、相手の負担を最小限にした方法を提案するのが望ましい対応です。

5.遺産分割案を一方的に送らない

「もう話はまとまっているから」と、他の相続人で決めた遺産分割案を一方的に送付するのは、紛争の引き金になります。

遠方の相続人は、

  • 話し合いに参加していない
  • 意見を述べる機会がない
  • 既成事実化された
    と感じやすいためです。

✅ 必ず、

  • 「案」であることを明記
  • 修正や意見が出せることを伝える
    ようにしましょう。

6.感情面への配慮が最も重要

相続は法律問題であると同時に、感情の問題でもあります。

遠方にいる相続人は、

  • 親への思い
  • 実家への距離
  • 介護に関与できなかった後ろめたさ
    など、複雑な気持ちを抱えていることが少なくありません。

そのため、

  • 責めるような言い方
  • 一方的な要求
  • 感情的な発言
    は、後々大きな対立に発展しやすいのです。

三豊市・観音寺市のように「地元に残った相続人」と「県外に出た相続人」という構図は、感情の行き違いが特に起こりやすい地域性でもあります。


7.連絡が取れない場合の対処法

手紙を送っても、

  • 返事が来ない
  • 住所不明
  • 連絡を拒否される
    というケースもあります。

この場合、

  • 住民票や戸籍の附票による住所調査
  • 弁護士・行政書士による代理連絡
  • 最終的には家庭裁判所の遺産分割調停
    といった法的手段も検討できます。

放置してしまうと、

  • 不動産の名義変更ができない
  • 預金の解約ができない
  • 二次相続でさらに複雑化する
    と、大きな不利益につながります。

8.相続を円滑に進めるために

遠方の相続人への連絡は、
✅ 早めに
✅ 正確な情報をもとに
✅ 丁寧な対応で
行うことが、相続トラブルを防ぐ最大のポイントです。

特に地方では、

  • 不動産が中心の相続
  • 農地や山林が含まれる
  • 名義が何代も前のまま
    というケースが多く、遠方の相続人が関与しないと手続きが全く進まないことも珍しくありません。

相続でお悩みの方は専門家へご相談ください

遠方の相続人との連絡や遺産分割でお悩みの方は、
一人で抱え込まず、早めに相続の専門家へご相談ください。

  • どのように連絡すればよいか
  • どこまで情報開示すべきか
  • 同意が得られない場合の対処法
    など、事前にアドバイスを受けるだけで、トラブルの多くは未然に防ぐことができます。

三豊市・観音寺市の相続手続きについてのご相談も、お気軽にお問い合わせください。